国家は憲法で保障されている人権を制約できるのか
→場合によっては制約できる。
根拠:公共の福祉
憲法13条全ての国民は公共の福祉の範囲内で尊重される(後段)。前段では個人の尊厳(憲法の人権保障規定)を定めており、後段では生命の保護を受ける権利やさまざまな自由のことを話している。これは人権に関する総則的な規定であると考えられている。そのため、全ての人権に適用されると言われている。
公共の福祉の理解
①一元的媒体的制約説
公共の福祉=公益と捉える考え方(国民多数の利益)。しかし、この公益は世の中に無数に存在しており政府はいくらでも公益を生産することができるため人権を制約しやすい。そのため危険でもある。
②一元的内在的制約説
公共の福祉=他者加害という捉え方(他者に対する加害行為が起きる・起きるであろう)。ジョンスチュアートミルが加害権利を主張しており、それに基づいて作られた。しかし、公共事業や経済活動に関する事柄ができなくなってしまう(仮に道路を作りたいときに所有権者が反対した場合、加害行為は発生していないため道路は作られない)。
③内在外在二元的制約説
人権の種類に応じて公共の福祉を変えていくという捉え方。精神的自由権の公共の福祉は他者加害行為であり、経済的自由権の公共の福祉は公益である。
▶︎二重の基準論
(通説)司法審査は経済的自由の規制が緩やかな基準、精神的自由の規制は厳格な基準によって審査されなければならないという考え方。